巷説百物語、ついに完結

京極夏彦さんのシリーズ「巷説百物語」がついに終わりを迎えました。

そのタイトルは「了巷説百物語(おわりのこうせつひゃくものがたり)」。

本当に終わりなんだなあと、読む前から寂しさがぐっと沸いてきます。

でも寂しいと思ったのはほんのひととき。

なぜなら…

まず、ずっしり重い。分厚い。

1000ページ以上あります。まるで辞書。もしくは漬物石。

本の重みが内容の重みに比例しているとしか思えません。

この重さも含めての紙で読む本の面白さ、京極さんの本の面白さではないでしょうか。

あらすじ

このページ数なので詳しいあらすじは書けませんが(長くなり過ぎる&ネタバレしちゃう)、簡単なあらすじだけ触れてみます。

壮大な時代小説です。

 

表向きの稼業は狐狩り、裏の稼業は嘘を見破る洞観屋。

二つの顔を持つ稲荷藤兵衛の元に、ある日洞観屋の仕事が舞い込んできた。

その依頼とは、老中水野忠邦の目指す、国民のための大改革を妨害する者たちの調査だった。

貧しさ故に親が子を売る、間引きする世の中など正しいわけがない。

依頼者の志が本物であることを見抜いた藤兵衛は、依頼を引き受け江戸へ出て敵を探り始める。

藤兵衛の元には同じく依頼を受けた能力を持つ者たちが集まった。

情報を交わし共に行動するうちに化け物遣いと遭遇し、さらに様々な一派が現れ始め、思わぬ方へ巻き込まれる藤兵衛たち。

 

人の目を覚まし現実に戻す、事実を伝える晴明神社の陰陽師、中禪寺洲齋(ちゅうぜんじじゅうさい)。

一人策を練り仕掛けをする御行又市の、人を殺さない戦い。

それぞれの思惑、願いを見抜いた藤兵衛が最後に見た真実とは。

 

感想

このあらすじだけでは伝えられないそれぞれの登場人物たちの想い。

どうしてそれぞれが今の状況になったのか。

それは育った環境による影響が大きく、経験したことが現在の思想や未来の希望に繋がっています。

今の時代でもそういうところあるなあと、読んでいて思いました。

人は過去の出来事から未来を予測するけれど、歪んだ思想を持ってしまう悲しい経験をした人もいて。

理想とは何か。

誰のための理想なのかで大きく方向が変わってくるものですね。

 

そんな争いの中、大活躍するのが中禪寺洲齋!

事実を受け入れず自分だけの歪んだ真実を作り上げ、大きな恐ろしい野望を持つ者へ、言の葉(言葉)で挑むところが圧巻です。

主人公である藤兵衛の周りにいる、ちょっと特殊な能力を持つ者たちの大活躍も爽快です。

様々な事件や戦がありますが、藤兵衛と仲間たちの関係が魅力的でした。

つかず離れずの距離がいい。

近くにいるときは守り合い、遠く離れているときは信じ合い。

最高の関係じゃあないですか。

 

敵も味方も常に冷静な人ほど強いものだなあと実感しました。

なので、今のところ目指すところは冷静な人間です。(影響されやすいところがすでにダサいような…)

 

これだけの長編なので登場人物が多く内容も濃く、読み切るまでに1か月かかりましたが面白かったです!

エピローグのような最後の数ページも、なんなら最後の1ページもどこも見逃せません。

最後の1ページがすごくいい。

 

シリーズだけど過去の巷説百物語を読んだのがだいぶ前で、メインどころ以外はよく覚えていませんでしたが、それでも面白かったので初めて読む方でも楽しく読めると思います。

もちろんシリーズ全部読破していて内容も覚えている方はさぞかしめっちゃ面白いことでしょう!(記憶力が羨ましい)

 

シリーズはどうしても終わりが寂しいような気がしてしまいますが、終わりがないよりいいのかもしれません。

作者が書けない状況になるまで続いて終わりが分からないままよりも、もしかしたら有難いことなのかも。

読者想いというか。

死ぬまで続けて書く!というのも読者への想いだと思いますが、綺麗すっきりケリをつける、終わりを見せてくれることも読者想いなのではないでしょうか。

 

なんにせよ、面白い本を世へ送り出し、終わりを作りきちんと締めてくれて感謝です。

面白かったです!

 

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