
津村記久子さんの短編集
本屋大賞2位「水車小屋のネネ」の著者である津村記久子さんの短編集「うそコンシェルジュ」。
物語は11篇あります。
主人公は年齢も境遇も様々ですが、不思議とすべての主人公に共感してしまいました。
自分と違う性格や年齢の人でもなぜか「ああなんかこの感じ、わかるなあ…」と読んでいて静かに心をつかまれます。
11人の主人公はどんな感じかというと。
納得できない話を肯定するよう圧をかけてくる友人に苦痛を感じているOL。
離婚して数年、ようやく自分の誕生日を一人静かに祝えるようになった52歳カフェ勤務の女性。
病院の受付勤務で20歳上の同僚と知り合い、自分の夢だった漫画をまた描き始めた25歳女性。
姪っ子やその友達、会社の後輩や上司のためにうそでトラブルを解決しようと試みるOL。
地下鉄のホームのベンチで安らぐ、息子や同僚に悩む女性。
社員交流会の心霊写真に写った幽霊の背景を探る女性。
食事にまつわる物語を考えまくる38歳の会社員男性。(孤独のグルメ風)
おじいちゃんが収集していた形見のペンで人との交流が生まれた孫娘。
飲み会に飽きた上司の送別会のお店選定に悩むOL。
友達グループに悩んでいる、居残り勉強をしている小4の女の子。
主人公以外の登場人物もなかなかです。
例えば。
お母さんの食器を割ることでストレス解消しているOLや、現役時代に飲み会に行き過ぎて違うことに楽しみを見つけている男性。
一見解決が難しそうな話でも、自分の気持ちにうそをつかない方の道を選び取る過程が共感できて面白かったです。
その過程で関わっていく人との交流がじわっと素敵でした。
素敵な人とそうじゃない人。
ちょっと変わった人だけど自分とは合う人。
年齢が離れていてもほっとする人。
周りにはすごく馴染んでいるのに自分とはどうしても合わない人。
不安を人と共感したり共通の敵を作ることで解決しようと、気づかぬうちにトンデモ行動をしている人。
どの人も何かしら社会との繋がりがあり、人間関係に悩んでいます。
つまりそれはすべての読者であり、世の中のほぼすべての人ではないでしょうか。
都合よく使われたり、本人に問題がある愚痴を聞かされてうんざりしたり。
そういう人に限ってなかなか離してくれない。縁を切れない。
なぜならそういう人はちゃんと利用できる人を選んでいるから。
この本から学んだことが二つ。
自分にとって素敵な人は、何気なく出会い、信用し合い、心の中でその人の幸せを願うことができる人。
自分にとって素敵じゃない人は、向こうから近づいてきて離れないか、強く拒絶してそれを周りにアピールする人。
人間関係に悩んでいるすべての人の応援本だと思います。
集団行動が苦手な人、社交的で強めな人がなんとなく苦手…という人が読むと特に面白いはず!
すごーく面白かったです。また読みたい!
普段は男性作家の方が好きでよく読みますが、津村さんは本当に面白かったです。
正直でなんともいえない魅力がありました。
後味も悪くないし、かといって出来過ぎたハッピーエンドでもない。
絶妙な短編集でした。
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