新川帆立「女の国会」

新川帆立さんの女版ハードボイルド小説「女の国会」。

女性が圧倒的に不利な政治の世界で奮闘する女性たちの物語です。

あらすじ

「女に生まれてごめんなさい」。

ウソ泣きお嬢と呼ばれた国会のマドンナ、浅沼侑子が遺書を残して亡くなった。

いつも綺麗に着飾り自信に満ち溢れた浅沼。

華やかな世襲議員である浅沼とは正反対の、野党第一党である高月馨は浅沼の死がどうも解せない。

高月は浅沼と死の前日に争った「性同一性障害特例法」が覆った理由を探ると同時に、浅沼の死の真相も探り始める。

国会議員、秘書、新聞記者、地方議員。

4人の女たちが手を組み、男が囲った国会で奮闘する物語。

感想

最初は不可解な死の真相を探る推理小説だと思って読んでいましたが、読み進めるにつれて女が男社会で生きていく難しさ、女の戦いと応援へ気持ちがシフトしていきました。

もちろん、死の真相も探りつつ。

憤慨おばさんと呼ばれる国会議員の高月、その若い秘書、政治部の新聞記者、地方議員の主婦。

4人ともそれぞれが男から受ける理不尽な扱いと立ち向かいます。

真実を知るという目的のために「これはグレーどころか黒だろう」というような目に余る言動や振る舞いをグッとこらえます。

こらえきれない場合は可能な限りぎりぎりまで反抗しながら。

一生懸命自分の立ち位置を確かめながら突き進むカッコいい女たちの物語でした。

 

すべての男が敵ではなく、助けてくれる男もいますが、そちらは少数。

どれだけ国を良くしたい、国民の暮らしを助けたいと思って頑張っても、SNSなどであっという間に悪い方へ印象操作されてしまう。

これは性別関係なく共通の悩みなんだろうと思います。

特に政治家は(有名人は)、盗聴や盗撮をされたり発言の一部を切り抜きストーリーを作られる。

悪いことを目論む人と手を組んだもんがちじゃないか!と思ってしまいます。

ネットの情報や口コミをそのまま信じた人が利用されて多数の意見となる恐怖。

皆が知っているストーリーの裏にはまったく別のストーリーがあることもある。

そんなことはもう、ほとんどの人が知っていることだけど。

 

基本的な人との付き合い方(悪口を共有してふくらまさない)は、ネット上の知らない人同士でもあるといいなあと、思わずにはいられません。

真面目に人の幸せを願う人が、歪まれて伝わることなく活躍できる社会でありますように。

 

さてさて。本の内容に戻りますが、物語の結末は想像をはるかに超えたものでした。

「えええ!!!」です。

浅沼以外の死の真相も「えええ!!!」

推理しているのが警察ではないところが、締めくくりの余韻を優しくしているような気がします。

 

それにしても国会議員は大変すぎる。それが女性ならばなお大変。

誰も口には出さないけれど、国会で女性は異質で排除したい、面倒な存在なんだなあと。

政治家の中高年男性の多さ。

自分と同じような生まれ、学歴、性別を集め、その世界を維持したい人の多さ。

 

精神的な問題だけじゃなく、体も大変です。

ほぼ休みなしの過密スケジュール。

派閥、連立、法案、会議。それにまつわる根回しも含め、どれも頭と体を使うことばかりです。

必要なカリスマ性。仲間の裏切り。自分の野心。国民の敵意。

毎日頭も心もぐっちゃぐちゃにならず顔に出さず、人前で上品にふるまえる強さ。

すごい人たちですね。

 

この本を読んで最後に思ったのは「女も男も仲良く生きていきましょう」でした。

 

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感想(3件)

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